たすけて、みひろん!
この人たちが、吉野さんの隣は私だと言いたいのは、痛いほど伝わった。
だからと言って、人の髪を引っ張らないでほしい。
「私達、あの場所をあんたなんかに譲る気はないから」
ケラケラと笑いながら囁かれた言葉に、むしろいらないんだけどと心ひそかに毒を吐く。
あの場所というのは吉野さんの親友ポジだろう。
人気者の親友ポジ、そんなおいしい立場を誰にも譲りたくないのね。
その気持ちは分からなくはないけど、決めるのは吉野さんだ。
なんて声にしたりはしないけど。
思い切りため息をつきたい気持ちを抑えながら、ここから逃げる方法を考える。
このままだと、吉野さんに近付かない約束を強いられ、
それでも吉野さんに話しかけられそのたびに呼び出される、の無限ループだ。
…あなた達は吉野さんの彼氏ですか、と問いたくなってきた。