たすけて、みひろん!
私の髪を掴んでた奴が、髪を離して今度は胸ぐらを掴んできた。
「そういうわけだから、もうみひろんには近寄らないでね?」
ニヤッと笑ったそいつが胸ぐらを離し少しだけ私から距離をとる。
というか、定番すぎる台詞がなんだかイタイ。
あれ、男絡みのイジメだけに使う台詞じゃなかったんだな。
どうでもいいことを考えていると、バシャッと音がしてぶっかけられる水。
いつの間に用意したのか、その手に持っていたバケツをひっくり返してくれた。
定番すぎて、笑えない。
水なんて、静川さんから嫌というほどかけられたからなんともない。
…少し心は痛むけれど、ちょこっとチクっとするくらい。
「次近付いたら、これじゃ済まないから」