たすけて、みひろん!



ファッションセンスがないなんて言うからどんな私服なのかと思ったのに。

「ファッションセンス、あるじゃないですか」

そう言ってやると、吉野さんは言いにくそうに耳元で囁いた。

「実はこの服、買ったお店の人に選んでもらったの」

えへへと恥ずかしそうに言ってみせた吉野さん。

そうして私から離れると、じっくりと私の服を見る。

私を見る瞳をジッと見つめていると、やはり黒い瞳の中に紅が混じっていた。


「思ったとおり、美乃ちゃんの私服可愛い」

サラッとそんなことを言う吉野さんの笑顔に思わず目をそらす。

可愛いなんて言われたことないから、恥ずかしいけど嬉しかった。


行こうと言って手を引く吉野さんと、ひとまずお昼ご飯を食べることになった。


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