たすけて、みひろん!



そうでしたねと答えると、忘れてたのかと頭をグリグリされた。

こういうことしかしないから、周りからは仲が良いと思われてしまう。

…なかなか頭がいいんだよね、静川さん。


「それでさ、吉野さんって人気者だから、他の部屋に遊びに行くかもしれないじゃん?

そしたら、どうなるか分かってる?」

どうせリンチされるのだろうけど、先生が来る可能性があるだけマシだ。

ただ、頭の良い静川さんならうまいこと隠しそうだし、リンチ以外の方法を使ってくるかとしれない。


分かってますよ、と答えようとした時だった。

「美乃ちゃん、ちょっとごめんね」

吉野さんが、私の筆箱をひょいと拾い上げ、静川さんが自分の胸ポケットにシャーペンしまってさり気なく離れた。

うざっと小さく呟いてから。


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