紅蓮の姫君
アルディナ、エルラの森の中。
少女は炎に身を包まれながら地面に着地すると、地面に染み込むかのように炎は消えて無くなった。
「これは一体……」
戸惑うエドの横でアランは明晰な頭脳を働かせた。
「草も彼女も燃えていないから、魔法の炎だな。恐らくこの炎が落下の衝撃を抑えたんだろう。」
深紅のミニドレスをまとった目の前の少女の体には大きな怪我は一つもなく、無数の擦り傷や切り傷があった。
アランは少女に近づこうとすると、少女の服の裾から4、5センチ程の小さな妖精が現れた。
「彼女になにをするつもり?」
妖精は背中に生えた炎の羽根を警戒しながらばたつかせると、黄色い瞳でキツくアランを睨みつける。
「我々は町から彼女が落ちていくのをみて慌ててやってきただけで敵意はありません…貴女は彼女の仲間ですか?」
エドは守るようにアランの前に立ちはだかると、妖精は警戒心が取れたのか高度を下ろし、少女の顔の横に移動した。
悲しげな瞳で少女を見つめると、小さな手で頭を撫でた。