紅蓮の姫君

「私はリリー。代々ヴァルカンに伝わる加護の妖精なの。」

「ヴァルカン……って、イファリク大陸にある炎の国ですよね?」

「うん。私は彼女…アリアを守る為について行くことをヴァルカン国王に命じられた。」

涼しい夜風がリリーの炎の羽を揺らぐ。
悲しげな黄色の瞳は、ずっとアリアを見つめていた。

「アリアって…………まさかあの……!?」

ヴァルカン、国王、アリア。
その3つのキーワードでエドの頭に浮かんだのは1人の人物だった。
アランはじっと目を細めるとゆっくり口を開いた。

「アリア=セシオネル=コーネリア。ヴァルカン王国の次期王位継承者…アリア姫か。」

「……しかし、何故ヴァルカン姫がこのようなところに……?」

リリーはエドに視線を移すと、小さな手から青い光を出現させた。
やがてその光はゆっくりと宙に浮くと水晶になり、一つの映像が映し出された。
水晶に映し出されたものにエドは目を丸くさせた。


「………何だ、これは。」

水晶に映し出されたのは草木は焼き払われ、霧に包まれてそびえ立つ城ーヴァルカン城だった。
水晶は光の粉を散らしながら消えると、リリーは分かった?とでも言うかのようにアラン達を見た。
あまりの衝撃にアランでさえ驚きを隠しきれなかった。

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