紅蓮の姫君
「シオン。」
ヴァルカン城のとあるバルコニーでシオンは漆黒の髪を風になびかせていた。
名前を呼ばれ後ろを振り返ると、そこに立っていた一人の少女に愛しさを覚える。
「エリザベス。」
低く透き通った声に名前を呼び返され、エリザベスとよばれた少女は恥ずかしげにうつむく。
「もう、望みは果たせたの?」
「あぁ果たせたよ。だけどもう一つ面白いことを思いついたんだ。」
エリザベスはアメジストの瞳でシオンを見つめると、シオンは頬を緩ませた。
「私はシオンが望むことすべて叶えてみせるよ。」
「あぁ、今回もお前に手伝ってもらわなきゃいけないんだ。」
「……あの男の大切なものを滅ぼすにはね。」