ピーク・エンド・ラバーズ
*
「キスってもうしたの?」
そんなド直球な質問が繰り出されたのは、大浴場から帰ってきた後のことだった。
昨日から修学旅行で旅館に宿泊していたのだけれど、今日は一日中京都府内で歩き回っていたから、みんなクタクタだ。
テニス部に所属している灯は、唯一元気が有り余ってこんな突拍子もない話題を切り出した様子。短く切り揃えられた髪を雑にタオルで拭いつつ、あっけらかんとした表情だった。
「うぐっ、」
ミネラルウォーターを飲んでいた羊が、灯の奇襲に咳き込む。危うく口に含んでいたものが出そうだったので、私はすかさず「羊、汚い」と注意を促した。
「ま、……まだしてない、よ」
「狼谷のことだからすぐ手出すのかと思ってたわ」
「あ、あかりちゃん……」
無事に恋仲となった羊と狼谷くん。文化祭から一か月ほど経っているから、二人の交際期間もそれに準じているはずだ。
修学旅行といえば恋バナ、なんてよく聞くけれど、まさか灯が切り出すとは思わなかった。
荷物の整理をしながら、私もこっそり耳を傾ける。
「あの、二人に聞きたいんだけど……普通のカップルって、いつ頃キス……するものなのかな」
「キスってもうしたの?」
そんなド直球な質問が繰り出されたのは、大浴場から帰ってきた後のことだった。
昨日から修学旅行で旅館に宿泊していたのだけれど、今日は一日中京都府内で歩き回っていたから、みんなクタクタだ。
テニス部に所属している灯は、唯一元気が有り余ってこんな突拍子もない話題を切り出した様子。短く切り揃えられた髪を雑にタオルで拭いつつ、あっけらかんとした表情だった。
「うぐっ、」
ミネラルウォーターを飲んでいた羊が、灯の奇襲に咳き込む。危うく口に含んでいたものが出そうだったので、私はすかさず「羊、汚い」と注意を促した。
「ま、……まだしてない、よ」
「狼谷のことだからすぐ手出すのかと思ってたわ」
「あ、あかりちゃん……」
無事に恋仲となった羊と狼谷くん。文化祭から一か月ほど経っているから、二人の交際期間もそれに準じているはずだ。
修学旅行といえば恋バナ、なんてよく聞くけれど、まさか灯が切り出すとは思わなかった。
荷物の整理をしながら、私もこっそり耳を傾ける。
「あの、二人に聞きたいんだけど……普通のカップルって、いつ頃キス……するものなのかな」