ピーク・エンド・ラバーズ


らしくないな、と自分でも思った。
恋バナといわれる類いのものは普段あまり得意じゃなくて、友達が話しているのをひたすら聞く側だったから。


「え、えっ、なに、どした? 加夏っち好きな人いるの!? 初耳!」

「いや、えっと……彼氏、が、います」

「彼氏ぃ!? 待って聞いてないよ、いつからー!?」


たちまち嵐のように質問が浴びせられて、つっかえながらも一つずつ答えていく。
根掘り葉掘りとはこのことか、というくらい細かく聞かれてしまったので、途中で恥ずかしくなった。


「ふむ、なるほど。つまり加夏ちゃんは、彼氏くんと自分がつり合ってないんじゃないかって思ってるわけね?」

「それもそうなんですけど……何というか、友達や今の栞さんの話を聞いてて思ったのは、私って本当に彼のこと好きなのかなって」


恋をしている女の子の横顔は、みんなきらきらしていて可愛くて、素敵だと思う。でも自分がそうなるのは想像できないし、私みたいなのがそうなっても、変というか、恥ずかしいんじゃないかと考えてしまうのだ。


「いつから好きだったかも明確には分からないし、ずっと好きになりたくなかったし……告白された時も、舞い上がるというよりかは、やっとか、みたいに思ってしまって……」

< 113 / 275 >

この作品をシェア

pagetop