ピーク・エンド・ラバーズ
受け取ったペットボトルは冷たくて心地良い。バイト終わりは喉が渇くから、有難いのは確かだった。
「いま小銭あったかな……百円でいい?」
「え? いやいいって、これくらい。俺が勝手に買ったんだから」
勝手に、とは言うけれど、彼は私のために買ってくれたわけだし、結局奢られるに等しいのでは。
釈然としない私を見かねてか、津山くんは「じゃあ今度機会があればコーヒーでも奢って」と苦笑した。
「……コーヒー飲めないくせに」
「今はそこ流してよー」
軽く冗談を飛ばした彼が、ゆっくりと歩き出す。私も横に並んで歩幅を合わせた。
「いつもこの時間に帰ってるの? 結構暗いじゃん」
「人通り多いし、すぐ駅だから大丈夫だよ」
「いやー、危ないって。なんか普通に柄悪い奴も多くない? 声掛けられたりしないの?」
「そういうのは無視だよ、ひたすら」
ぐだぐだと話しているうちに駅のホームに着いた。
津山くんはずっと心配してくれているみたいだけれど、小学生でもあるまいし、さすがにある程度自衛はできる。でも何だか私の答えが気に入らなかったようで、不服そうに眉根を寄せていた。
「声掛けられてるってことじゃん、それ」