ピーク・エンド・ラバーズ


「さすがにそろそろやばくね? お前、連絡してやったら?」

「いや……してんだけど、こないだから全然返信こないんだわ。機種変したとか?」


知らず知らずのうちに、男子の会話に耳をそばだてている自分がいた。

連絡が取れない? 姿も見えない?
私は完全に彼と連絡を絶っていたから、そんな状況になっているとはもちろん知らなかった。もし仮にいま津山くんへ電話を掛けても、繋がらないということだろうか。

まだ彼と顔を合わせて話す勇気はない。考えもまとまっていない。
津山くんと次に会う時は、連絡を取る時は、私が彼と「付き合い続ける」か「別れる」か、自分の中で決断を下したその時だ。

でも、いざその時が来て彼にコンタクトを取っても、もう繋がらないかもしれない。それはちょっと、いやかなり困る。曖昧なまま終わりというのは、絶対にしたくない。


「西本さん」


ふと呼ばれて顔を上げれば、ケースケくんが隣に腰を下ろすところだった。隣といっても、私と彼との間には妙な間隔が空いていて、親しいとは言い難い距離感である。


「お疲れ。名倉は?」

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