ピーク・エンド・ラバーズ


どうしたものか。ケースケくんにまで迷惑かけないでよ、と八つ当たりのようなことを思う。
とはいえ、さすがに死なれたら洒落にならないので、あくまでもケースケくんのために赴くことに決めた。


「分かった。……じゃあ、とりあえず来週くらいに行ってみる」

「え、いや――待って。来週はちょっとやばいかも。その間にあいつ死ぬって。なんなら明日にでも行った方がいいくらい」


そんなに切羽詰まっていたのか。
いや、でも明日は無理だ。バイトがあるし、金曜日は特に忙しいから絶対に休めない。今週の日曜日は幸いにも休みだけれど、気持ちの整理をつけるには期間が短すぎる。


「うーん……うん。じゃあ、明後日行ってくる」

「頼むわ。人命救助だと思って何とかお願いします」


土曜日は午前中に講義があって、バイトは夕方には終わる。その後に行ってみよう。外出してそのままの足で行った方が、まだ勇気は出そうだ。
日曜日の方が丸一日休みで時間はあるけれど、どうせ結論を出せないまま会うなら、一日でも早く会った方がそれこそ人命救助としては適切だろう。

思わぬ形で降ってきたハプニングに、私はタオルを握り締めたままため息をついた。

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