ピーク・エンド・ラバーズ
小さく呟いた声が、憔悴しきっている。
真っ白を越えてもはや真っ青な津山くんは、目の下に隈ができていた。一目見れば誰でも分かるくらいに、やつれている。
「え、本物……?」
黙って彼の様子を観察していたら、勝手に幻覚扱いされてしまった。
玄関から一歩出た津山くんが、ドアから手を離した途端に大きくよろめく。
慌てて駆け戻って、私は彼の腕を掴んだ。
「ちょっと、大丈夫?」
聞いたくせに、全く大丈夫な気がしない。
これは重症だな、と内心独りごちて、彼の背中に腕を回した。
「とりあえず横になりなよ。ご飯は? ちゃんと食べてる?」
ドアノブに掛けっぱなしだった袋を回収して、扉を閉める。今は緊急事態なので、靴を脱いで勝手に部屋にあがらせてもらうことにした。
私の質問に緩く首を振った津山くんを支えながら、よたよたと歩く。何とかベッドに彼を横たえた。
「ちょっとごめんね」
断りを入れてから津山くんの額に手を当てると、彼の肩がびくりと震える。
「……うん。熱はないね。水飲める? 飲んだ方がいいよ」
「え、あ、」