ピーク・エンド・ラバーズ
がくりと項垂れて、津山くんが嘆くように謝罪する。もう飲まない、と先に宣言して、彼は続けた。
「多分、他の人のやつ間違えて飲んで……記憶はあるんだけど、すっげー眠くて。自分でも酔うとこうなるんだって分かったから、もう飲まない。ごめん」
どうやら、彼の意思でアルコールを摂取したわけではなかったようだ。体質的にも、津山くんはきっとお酒に弱いのだろう。
あとは? と、懲りずに彼が聞いてくる。
私は数秒思案して、首を振った。
「気が付いたら、その時に言う」
「ん、分かった」
「津山くんは?」
至極当然のこととして尋ねれば、彼はきょとんとした顔で固まった。
「俺はって……」
「私に直して欲しいところ」
与えてもらうだけ、頑張ってもらうだけ。そんな関係は嫌だし、自分のポリシーもそれを許さなかった。津山くんだからとか、そういうわけじゃない。もらったものは返したくて、同じ目線で物事を眺めていたかった。
津山くんがくれる気持ちから、もう逃げない。私は私なりに、少しずつでも返せるように、つり合うように、努力していこう。いつか彼とおんなじ気持ちを持って、隣で笑えるように。
「返信はできるだけしてくれると、嬉しい、かな」