ピーク・エンド・ラバーズ
彼に指摘されて、自分でもしっくりくる。確かに津山くんは連絡しすぎなところもあるけれど、私だってしなさすぎだった。
これは改善しないとな、と納得して頷く。
「あと、ケースケとあんまり仲良くならないで」
「別に仲良くはないけど……」
「俺の知らないとこで連絡取ったりしないでよ」
「してないって」
「それと、」
まだあるのか、と若干顔をしかめた私に、津山くんはおずおずと要望を述べた。
「手は、もう少し繋ぎたい、です」
こういうところが、ずるいよなあと思う。プレイボーイだったくせに、無駄に健気で可愛いのだ。
「……津山くんって、手繋ぐの好きだね」
「加夏ちゃんとだから、繋ぎたいの」
それから、と。欲張りな男の子は、もう一つ乞うてくる。
「俺のこと、名前で呼んで欲しい」
「……は、」
「呼んで。お願い。加夏ちゃんの特別なんだって、もうちょっと自惚れたい」
自惚れるも何も。私がここまで許すのも許したのも、津山くんしかいないのだけれど。
とはいえ、あまりにその訴えが切実だったから、適当に受け流すこともできず。
「…………み、さき」