ピーク・エンド・ラバーズ
恨みつらみだったとしても。今日全てをここに置いて、いい加減に誠実でいなければならない。そうしないと、津山くんの隣にもいられない。
津山くんがくれた純情な想いに、私はいつだって怠惰なままだった。
「そっか。……ありがとう」
どこか安堵に満ちたような声色だった。相良くんがゆっくりと息を吐き出す気配がして、それから静かに投げかけてくる。
「俺は直接会って話したい。西本は?」
「……そうだね。私も、そう思うよ」
分かった、と相良くんは受け応えた。
「いつがいい? 合わせるよ」
「今から」
「え?」
「今すぐ――しないといけないの。なるべく早く、」
もう一秒も無駄にできない。したくない。私は、自分自身にも、誰に対しても、誠実でありたいと心から思った。
「分かった」
相良くんが言う。さっきと同じ単語を、今度はさっきよりも力強く。
彼の家は当時と変わっていないらしく、中学校からさほど遠くないカフェで落ち合おうということで話はまとまった。
通話を終えて視線を上げると、呆然とした顔で立ち尽くす津山くんと目が合う。
「津山くん」