ピーク・エンド・ラバーズ
臆面もなく他者にそんなことを惚気ている自分自身に、私が一番驚いていた。
認めたくなかった恋。意地を張り続けた恋。
面倒で可愛くなくてダサかった私を、「彼」はひたむきに追いかけてくれた。
今ならちょっと、解明できるかもしれない。私が津山くんから――岬から逃げたかったのは、彼の気持ちを確かめようとしていたから、なのだろうか。
どれだけ突き放しても追い続けてくれる。彼の気持ちがどれだけ本当なのか、私はきっと、不安でたまらなかった。
「この先ずっと、一緒にいると思う」
これは、私の見解。個人的意見。そして、ずっと怠り続けてきた顕在化への対処法。
私は真面目で、常に正解を選び取って生きてきた。間違わない。今まではもちろん、これからも。
だから、今日も選ぶ。選んでいく。岬と一緒にいる、これが今の私が見つけた「正解」だ。
断言した私に、相良くんが小さく笑う。
「それなら心配ないな」
コーヒーを一口含んだ彼に、先程から感じていたことを伝えてみる。
「……相良くん、少し変わったね」
どこが、と問い詰められても、正確に全て答えられる自信はないけれど。
「自分じゃよく分かんないな。久しぶりに会った西本が言うなら、そうなのかもしれない」