ピーク・エンド・ラバーズ


何となく、小さい子にするみたいに接してしまっている。弟がいるから、余計にそうなってしまうのかもしれない。
そう考えてから、ああそっか、弟みたいだからか、と腑に落ちた。こうして弱っていると、津山くんはただの男の子なんだな、と当たり前のことを思う。


「マジでごめん。ちょー情けないわ、俺」


落ち着いたのか、彼はいつもの口調を取り戻した。
あ、さっきの方が可愛かったんだけどな。少しだけ残念に思ったのは、心の中に留める。


「いやいいよ。苦手なんでしょ」


正直、かなり意外だったけれど。でも、誰にだって苦手なものの一つや二つはあるだろう。情けないとか、そういう問題じゃない。

しかし津山くんは釈然としない顔だった。物凄く、落ち込んだ様子で。


「うん、まあ……そうだけど。くっそカッコ悪いじゃん」

「ははっ」

「ちょ、何でそこで笑うの? 酷くない?」


今度は眉間に皺を寄せて、失礼な、とでも言いたげに彼が口を尖らせる。


「だってさあ……そんなん今更だなって」

「今更?」


首を捻った彼に、私ははっきりと告げた。


「正直言うと、津山くんのことかっこいい〜って思ったことないんだよね」

< 23 / 275 >

この作品をシェア

pagetop