ピーク・エンド・ラバーズ


じゃあ行こっか、と歩き出した灯に頷いて、駅を後にする。


「ていうか久しぶり。二人とも可愛くなっててびっくりしたよー、女子大生! って感じ」

「さっきから灯の感想がおじさん臭いんだけど」

「ひど! 褒めてんのにー」


灯と私の会話に、くすくすと肩を揺らす羊。笑い方は全然変わっていないけれど、雰囲気はこの三人の中で羊が一番変わったんじゃないだろうか。
高校の時は素朴という印象が強かった。今の彼女には可憐さというか、華やかさがある。

寒空の下を歩きながら話しているうちに、同窓会の会場に着いた。


「でも、朱南ちゃん今日来れないの残念だね。会いたかったなあ」


そうだね、と羊の言葉に同意して、マフラーを取る。

朱南は中学校の同窓会に参加するらしく、今日は欠席と言っていた。他にもそういう人は結構いたので、仕方ないといえば仕方ないのだけれど。

とはいえ参加者は大勢いるため、会場は随分と広いところを借りたようだ。ビュッフェ形式で、テーブルごとに分かれて座るといった形だった。

みんなそれぞれ外見が変わっても、顔を合わせればあの日の教室内の空気が戻ってくる。
思い出話に夢中になったり、近況を報告しあったり、会話は途切れることなく続いた。

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