ピーク・エンド・ラバーズ



「西本って永北大だっけ?」


同窓会も後半といったところだった。
最後にデザートを食べておこう、と立ち上がって、胃のキャパシティを考えていた時、唐突に横から声を掛けられる。

あからさまに私が驚いてしまったからか、彼は「ごめん急に」と苦笑していた。


「ああ、いや……大丈夫。うん、永北だよ」


受け答えながら、必死に相手の名前を思い出す。確か、北――ああ、そうだ。北川(きたがわ)くんだ。
高校一年生の時に同じクラスになったのだけれど、それ以降は特に関わりもなかったので脳内から消えかけていた。


「やっぱそうだよな。あのさ、井田(いだ)って分かる? 井田啓介(けいすけ)

「あー……ケースケくん? 同じサークルだよ。バスケサークル」


ここでその名前が出てくるのは想定外だった。
聞けば北川くんとケースケくんは中学校が同じだったそうで、バスケ部で切磋琢磨し合った仲だったとか。


「そっか。あいつバスケ続けてんだな」

「ケースケくんから何も聞いてないの?」

「んー……いや、実は中学卒業した辺りから全然連絡とってなくてさ。俺、高校入ってバスケやめたし、何となく一方的に連絡しづらいっていうか」

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