ピーク・エンド・ラバーズ
*
「誰かと思った。お前、そういうタイプだっけ」
高校に入ってから最初に顔を合わせた時、玄は俺を見てそう問うた。
狼谷玄――中学の頃、同じクラスになったことはあるけれど、お互いにただのクラスメートという認識だった。
髪を明るく染め、痛みに耐えながらピアスも開けて。俺は、過去の「優しくて大人しい津山岬」を卒業したはずだった。
玄に一方的につきまとったのは俺だ。前の俺と今の俺を知っていながら何も追及してこない彼に、安心感を持っていたのだと思う。
「ねえ、玄。今度いつ空いてるの~?」
正直言って、玄はモテた。女の子からの誘いが絶えなくて、彼もその誘いを断ることが滅多になくて、百戦錬磨のプレイボーイだとかなんだとか、騒がれていた気がする。
「お前、今日もデート? 女の子とっかえひっかえしてさぁ」
涼しい顔で頬杖をつく玄に、俺は軽い茶々をいれたつもりだった。
デートじゃない、と綺麗な顔をした彼が眉根を寄せる。
「はあ? 女の子と二人で遊ぶんだから、デートだろ」
「いや、別に。どうせ俺の家行ってヤるだけだし」
「…………え?」
「誰かと思った。お前、そういうタイプだっけ」
高校に入ってから最初に顔を合わせた時、玄は俺を見てそう問うた。
狼谷玄――中学の頃、同じクラスになったことはあるけれど、お互いにただのクラスメートという認識だった。
髪を明るく染め、痛みに耐えながらピアスも開けて。俺は、過去の「優しくて大人しい津山岬」を卒業したはずだった。
玄に一方的につきまとったのは俺だ。前の俺と今の俺を知っていながら何も追及してこない彼に、安心感を持っていたのだと思う。
「ねえ、玄。今度いつ空いてるの~?」
正直言って、玄はモテた。女の子からの誘いが絶えなくて、彼もその誘いを断ることが滅多になくて、百戦錬磨のプレイボーイだとかなんだとか、騒がれていた気がする。
「お前、今日もデート? 女の子とっかえひっかえしてさぁ」
涼しい顔で頬杖をつく玄に、俺は軽い茶々をいれたつもりだった。
デートじゃない、と綺麗な顔をした彼が眉根を寄せる。
「はあ? 女の子と二人で遊ぶんだから、デートだろ」
「いや、別に。どうせ俺の家行ってヤるだけだし」
「…………え?」