ピーク・エンド・ラバーズ



「狼谷、文化委員やってくれない?」


二年生になって早々の委員決め。
学級委員を担うことになったクラスメートの坂井が、自分の席で舟を漕ぐ玄に問いかける。

朝が弱いせいで、授業中もかなりの頻度で眠りこけている玄。彼が寝ている間に体育委員、図書委員、と次々決まっていき、残すは文化委員のみとなった。


「あー……坂井。文化委員の欄、玄の名前書いといていいよ」


一年生の時から継続で勝手に玄の「親友」を名乗っている俺は、これまた勝手にそんなことを口走ってしまう。

女癖が悪い、という事実に加え、授業態度が悪い、そして気に入らない相手がいれば容赦なくぶん殴る――といった最悪のイメージがついている玄だったけれど、俺と放課後に行ったファーストフード店で他校の怖い奴に絡まれて仕方なく実力行使しただけで、さすがに気に入らないという理由だけで人を殴ったりはしない。
まあ授業中はいつも寝てるからそこの弁明はできないけど。あと、下半身ゆるゆるなのは本当だから何も言えないけど。ん? これ、ちゃんとフォローになってる?

え、と零した坂井に、俺は言い募った。


「俺が後から頼んどくから! あいつね、俺の頼み事は何だかんだ聞いてくれるから大丈夫」

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