ピーク・エンド・ラバーズ
2
「……カナちゃん、何で私と玄くんが仲直りしたって知ってるの?」
修学旅行も終わり、またいつも通りの授業が始まろうとしていた。
狼谷くんと仲直りしたんだね、と切り出した私に、通学バスの中で、羊がふとそんな質問を投げてくる。彼女とは使っているバスも一緒だ。
「あー……いや、えっと、津山くんから聞いた」
「そうなんだ」
何となく気まずさを覚えながらも返事をすると、羊はあっさりと頷く。
というのも、羊と狼谷くんは修学旅行の最中、少しぎくしゃくしていた。結局原因はよく分からなかったのだけれど、無事に仲直りできたらしい。
津山くんがまた狼谷くんから情報を仕入れたのか、私にメッセージを送ってきたのだ。当然、羊はそんなことを知る由もない。
言ってしまってから、情報源が津山くんだというのは別に公表する必要がなかったな、と少し焦る。裏で内密にやり取りするほど仲が良いのか、と誤解されるのも何だか癪だ。
「……別に、何もないから」
と、これもこれで言い訳がましい。
私の苦しい弁解に、羊はきょとんとした様子で首を傾げる。
「津山くんは確かに顔はいいけど、タイプじゃないし。というかそもそも女癖悪すぎるし」
「えっと……カナちゃん?」
「ギャップ萌えだか何だか知らないけど、そんなんでほだされたりとかしないから」