ピーク・エンド・ラバーズ
高揚感、と言っていいかは定かではないけれど、達成感にも似たものは、確かに私も感じている。
だからこそ、彼の誘いに乗ってのこのことファミレスまで来てしまったのだ。
「ほら、もっかい乾杯しとこ。親友の明るい未来に、かんぱーい」
半ば強制的にグラスをぶつけられ、ため息が漏れる。
暗躍したというだけあってか、津山くんはまるで自分の手柄でもあるかのように上機嫌だった。
「……明るいかどうかは、明日本人に聞いてみないと分からないよ」
「え~、あれはもう確定っしょ。逆にくっついてなかったらびっくりなんだけど」
彼と私が交わることになったそもそもの原因は、私たちの親友にある。
津山くんは、二年生になってから一人の男子生徒――狼谷くんとずっとつるんでいた。その人は遅刻早退欠席常習犯、というなかなかの問題児で、みんな彼を多かれ少なかれ恐れている。
一方で私は、一年生の頃から部活もクラスも同じである親友がいて、彼女はすごく穏やかな性格だ。
そんな私の親友――羊と狼谷くんが同じ文化委員会になってしまったことが、全ての発端だった。
「まあ、確かにあれは……誰がどう見ても両想いだったんだけどね」