ピーク・エンド・ラバーズ
お察しの通り、正反対の性格とも思えた二人は、いつの間にかイイ感じになっていたわけである。
後夜祭の最中、羊が狼谷くんを連れて走っていったから、きっと告白なりなんなりして上手くいったんだろう。お幸せにどうぞ、というメンタルだ。
「いや~~~、俺もなかなかいい仕事したと思うんだよね。もうじれったくてじれったくて、こっちが禿げそうだったからさ~」
禿げたらどうなるんだろう、と勝手に妄想してしまい、口元が緩みそうになる。唇を噛んでこらえながら、私はさも真面目な顔で頷いた。
「まあ、お疲れってことで」
「うぃー」
今度は直接ぶつけることなく、グラスを掲げて労い合う。
私たちの仲は、何とも奇妙だった。
友達にしては浅すぎるし、ただのクラスメートと言うにも言い切れない。同じ親友の幸せを願う立場として、謎の親近感みたいなものが生まれそうだったけれど、だからといって特にどうということもなく。
だって、彼と私じゃ、あまりにも平行線すぎる。
それは教室内での役割だとか元々の性格だとか、そういったことを抜きにしても、だ。
「……あ、ごめん。ちょっと電話」