ピーク・エンド・ラバーズ
3
冬休みの間、勉強に集中しながら出した結論は、やっぱり変わらなかった。
私は津山くんのことを、好いてはいない。そして恐らく、津山くんは私のことを好いている。
だとしたら好きじゃない相手に気を持たせるのは良くないし、あの日帰ったのは間違いじゃなかったと思う。もうその前から色々と、反省すべき点はあるのだけれど。
困ったな、という感想は相変わらずだった。
私は今まで津山くんを友達だと思っていたからそれなりに仲良くできていたし、優しくできていた。
でも、もうそうはいかない。その気がないからきっぱりと、線引きをしなければ。
「羊の次は加夏かー。寂しいなぁ、加夏の過保護になっちゃう気持ち、分かるかもしれない」
休み明け、怒涛のテスト週間がようやく終わり、みんな伸びきっているところだった。
灯がそんなことを言い出すから、思わず顔をしかめる。
「……何が?」
「分かってるくせに。津山、あれバレてないつもりなのかな」
意地悪な顔をして私の背後に視線を投げた灯が、頬杖をついた。
私は振り返るつもりなどない。というか、振り返らずともひしひしと感じる。――ああ、見られてるなあ、と。
「ねえ、灯。変なことしないでよ」
「わーかってるって。加夏がいっちばん嫌がるもんね、噂とかそういうの」