ピーク・エンド・ラバーズ


また、余計なお世話になってしまうんだろうか。彼に言い聞かせながら、まるで自分にも説教している気分になる。
堅実に真面目に。私は、そういう生き方しかできない。でも、でもね。津山くんは、そうじゃないでしょう。


「自分の、人生」

「そ。津山くんの、津山くんによる、津山くんのための人生」

「リンカーン?」

「正解」


ふは、と彼が笑う。つられて私も口角が上がる。
やっぱりどうしたって津山岬は、笑顔が似合う人だなと思った。


「まあだめだったとしても、受けとけば良かったって後悔するよりはいいんじゃない?」


簡単に言ってみるけれど、それはそれで苦しい思いをするんだろう。
でも、いま彼が欲しているのは正論じゃない。孤独な戦いの中、そっと背中を押してくれるきっかけ。ただ、それだけだ。


「こんな短期間でCに上がったんだからさ。津山くんが頑張った分は、ちゃんと現れてるってことだと思うよ」


本心からそう思っていた。だから何気なく言えたのだ。
なのに、津山くんは私が言った途端、突然ぼろぼろと泣き出して。


「ま――って、ごめん……何でも、なくて、」

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