ピーク・エンド・ラバーズ


隣で歩いていた彼にそう言い渡すと、気の抜けた声が返ってくる。


「私、先に自分の結果見てくる。流石に一人で探したいから」

「あ……うん、分かった」


合否が分かるその瞬間まで彼と一緒にいるつもりは、毛頭なかった。
頷いた津山くんを確認して、私は足早に歩き出す。

模試はずっとA判定。最後の追い込みもやり切ったし、一次試験も二次試験も手ごたえはあった。問題ない。大丈夫。
心の中で何度も自分に言い聞かせ、人だかりに向かっていく。心臓の音が、やけに近く感じた。

受験番号は、紙を開かずとも覚えている。それでもお守りのように両手で力強く握り締めて、掲示板を見上げた。

一番左の列から――いや、もっと後ろの方。二列目、三列目。多分、四列目。
上からゆっくり一つずつ番号を確かめて、下へと視線を落としていく。と、


「あ……」


4087。見間違えじゃない。ちゃんとあった。


「はあ……」


どっと体から力が抜けて、安堵感が全身に広がっていった。
良かった、と自分の中でひとまず噛み締めて、すぐに人だかりを抜け出す。

津山くんは少し遠目からでも分かるくらい、そわそわと落ち着きのない様子で私のことを待っていた。
多分私もこの時は結構浮かれていて、彼に駆け寄りながらピースまでしてしまった。


「受かった!」

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