ピーク・エンド・ラバーズ


あーあ、言っちゃった。心の中で、盛大におちゃらけている自分が肩を竦める。

本当はちゃんと、津山くんから言って欲しかった。「好き」という言葉は、彼の口から直接、自発的に紡がれるべきだった。
私はそれをずっとずっと待ち続けていて、なぜかといえば、彼が本当に私のことを好きだという確信は、そこで得るしかないと思っていたからだ。

津山くんは私の言葉に、大きく首を縦に振る。何度も何度も頷いて、苦しそうに肯定した。


「うん……うんっ、そう、なんだ……」

「ふうん、そうなんだ」


ねえ、「好き」はいつ言うの? いつくれる? もうずっと待ったし、耐えられなくて私から切り出しちゃったんだけど。

いい加減言ってくれると思っていたのに、津山くんはただ私を凝視するだけだ。
口を開く気配もないので、私は腕を組んで眉をひそめる。


「……え、何?」

「あっ、えー……と、その、返事、とかは……」

「はあ?」


今度こそ遠慮会釈なく抗議の声を上げた。
何こいつ、私にここまで言わせておいて自分ではなんにも言わないの!? あり得ないんだけど!


「えっ、いや、だって! 告白して、『そうなんだ』で終わるのはちょっと……俺も割り切れないっていうか、」

「まさか今のが告白だなんて言わないよね? 私『好き』って一回も言われてないけど?」

< 92 / 275 >

この作品をシェア

pagetop