お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「琴理ちゃん、ただいまぁ」
もう日付が金曜日へと変わろうとしている時間帯に、藤丸さんは秘書の工藤さんに連れられてご機嫌で帰ってきた。
「では、社長。私はこれで。失礼します」
工藤さんは、深々とお辞儀した後、完全に部屋着の恰好の私を頭からつま先まで一巡して見ると軽く会釈して帰っていった。
秘書の工藤さんはいつもこう。
いつも冷静で、もう何度か会っているのに未だ表情を崩したところを見たことがない。
それになんというか、私に対してあまりいい印象を持っていないというのが手に取るように分かる。
って、工藤さんの事考えている場合じゃなかった。
問題は目の前にいる、藤丸さん。
超がつくほど御機嫌な様子で、これはかなり酔っぱらっているのが分かる。
そんな彼を見るのは初めてで、さてどうしようかと思いを巡らす。
「とりあえず横になりましょう」