お見合い結婚～イケメン社長と婚前同居、始めます～

「課長のこと、好き。…だったのかな？」

私の言葉に、ただでさえ大きな瞳の美夏はさらに大きく目を見開く。


「課長さんのこと、好きじゃなかったの？」

「好きか嫌いかって言われたら、好きだったんだけど。課長に対する好きっていう感情が恋とか愛とかって聞かれたら分かんない」



はぁぁぁぁ。
今度は盛大なため息をついたのは、目の前にいる美夏。

私に向けた美夏の表情は、半分は呆れたような表情で、残りの半分は憐れんでいるような表情。


「３年も関係は続いていたっていうのに、琴理から会いたくなったり、他の女の人に嫉妬したり、居ても経ってもいられないくらい好きだって思ったことないの？」



３年間の月日を思い出して考えてみるけれど、そんな気持ちになった記憶は見当たらない。

しいて言えば、クリスマスなんかのイベントで街を歩くカップルを見て羨ましいとは思ったけれど。
だけど、桐谷課長と歩きたいとまでは思ったことはなかった。