お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
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「うわぁ…」

 

美容室の鏡の中には、まるで別人の私がいるので、私は思わず感嘆の声を漏らした。

その様子を私の後ろでコーヒーを飲みながら藤丸さんが楽しそうに微笑んでいるのを鏡越しに伝わってくる。

 

 

 

今朝、遅めの朝食を取り終えると、早速、藤丸さんは私を車に乗せ、眼鏡店に連れて行き、コンタクトレンズを新調させた。

眼鏡店の後は、ファッション雑誌にもよく掲載されている高級ブランドを取り揃えたセレクトショップへ連れて行かれた。

どこに行くにも藤丸さんのエスコートはスマートで、手馴れている感じがして、私はなんだか胸が急に苦しくなった気がした。

 

店内の商品を眺めながら、後ろに大きなリボンのあるAラインのワンピースがふと気になって手に取った。こっそりそのタグに着いていた値札を見てめまいを起こしそうになる。

 

庶民の私がいつも買っている服よりも0の数が1つ違っている。

 

 

あぁ、やっぱり藤丸さんって住む世界が私とは違うんだな。

 
一緒に住み始めて、そんな事感じることが少なかっただけあって、現実を突きつけられた気がしてくる。
 



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