お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
普段なかなか履かない膝上丈のワンピースに慣れない高さのヒールを履いて、藤丸さんに手をひかれたまま歩いたせいで、ようやく車に乗り込んだ時には、軽い息切れすら覚えてしまっていた。
そして、その時ようやく気付いた。
藤丸さんが私と手を繋いだ反対の肩にかけていたさっきのセレクトショップの大きなバッグ。その中には、先程私が試着した全ての服が入っていた。
あまりの事に言葉を失っている私を見て、藤丸さんはいたずらな笑みを浮かべる。
「こうやって、好きな子を自分色に変えていくのっていうのもなんか楽しい」
藤丸さんの一言に思わず顔が急に熱くなってきて、私は左側の運転席に座る藤丸さんの肩を私は小さく小突く。
「いってぇ」
藤丸さんはたいして痛くもないはずなのに、オーバーリアクションを取って楽しそうに笑った。