お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「…ないわよ。そんな、少女マンガじゃあるまいし」

私のその一言に、美夏はますます口をあんぐりさせる。



「美夏はいいわよ。素敵な婚約者が居て、結婚間近でしょ。恋すらまともにしたことない私には、好きな相手がいるってことだけでも羨ましいわ」

皮肉っぽくなってしまった私の口調に、美夏は苦笑いを浮かべながら「まぁ、まぁ」と私をなだめる。




ストレートのロングヘアで目鼻立ちのくっきりしている美夏は、顔だけでなくスタイルだってモデル体形で学生時代から注目される存在で、よく他校の男子生徒に声を掛けられていた。

性格だって明るくて、小さい頃からいつも輪の中心にいた。
そんな美夏とは対照的にクラスで一番地味で目立たない存在の私だったのに、美夏とは何故かウマが合っていつの間にか親友になって、社会人になった今でもこうやって暇さえあれば食事をしたり、お互いの家を行き来したりしている。


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