お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「その時は、また魔法をかけてあげる。」
えっ?
「琴理ちゃんへの魔法が消えそうになったら、また僕が魔法をかけるよ。何度も、何度もね。現実に戻りたくないなら、戻らなければいい」
きっと私の反応が顔に出ていたんだと思う。藤丸さんの念押しのような言葉に一気に胸の鼓動が高鳴っているのが分かる。
「そっ、そうじゃなくて。私がいう現実って、実家で暮らしていた頃の事ですよ!!今の生活だって、都心のタワーマンションに住んで、優しい藤丸さんがこうやってデートみたいなことしてくれて、私にとって、藤丸さんとの生活自体がシンデレラみたいっていうか…」
あぁ、私ってどうしてこんなに可愛くない言葉が出てきてしまうんだろう。
素直にありがとうって微笑めばいい、それだけなのに。
それなのに藤丸さんと言えば、私のその反応ですら満足そうで楽しそう。
「デートみたいな事って、僕は完全なデートだと思ってるよ。それに、現実に戻るのが怖いなら、ずっと僕と一緒に住んでほしい。まぁ、琴理ちゃんが良ければだけどね。」
藤丸さんの言葉に私の胸はキュンと締め付けられるばかりだった。