お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「最初のデートが、藤丸さんとのデートで良かったです。ありがとうございました」
ほろ苦い気持ちを打ち消そうと、目一杯微笑んでもう一度藤丸さんにお礼を伝える。
藤丸さんは、ニコッといつものように満足げに笑ってくれる、
…って思っていたのに、ソファーからキッチンに居る私を見つめる藤丸さんは、眉間に皺を寄せて、どこか苦しげな顔をしている。
いつもなら、何か返事を返してくれるのに、今は返事すらなく、ただ私を見つめるばかりで不安になってしまう。
私は、藤丸さんの座っているソファーに近寄る。
「あの、藤丸さん?……きゃっ!!!」
私が藤丸さんの顔を覗きこもうとした瞬間、私の手を勢いよくひいた藤丸さんのせいで、私はソファーに倒れ込む形になってしまった。
「琴理ちゃん、今、桐谷さんのこと考えたでしょ?」
「えっ??」
驚きのあまりに目を見開くのとほぼ同時。
私の答えなんて聞く必要もなかったのか、藤丸さんは倒れ込んだ私の唇を、暖かな唇で塞いだのだ。