お見合い結婚～イケメン社長と婚前同居、始めます～

驚きと藤丸さんが馬乗りのような形になっていることもあり身動きの取れない私に藤丸さんはキスをした。

 

それは、いつもの優しい藤丸さんからは想像もつかないようなキス。

唇を情熱的に貪られ、空気を求め唇を少し開いた私に藤丸さんの舌は簡単に侵入してくる。

 

体中が熱を帯びてきて、頭の中までボウっとどうにかなってしまいそう。

「んんっ……。あっ……。」


貪られる程の熱いキスは、どこか恐怖にさえも感じて、私は藤丸さんの胸を何度かドンドンと叩いてみたけれど、藤丸さんは一向に勢いが衰えることはない。

 

「別の男のことなんて、考えないでよ」

「琴理ちゃんを、僕でいっぱいにしたいんだ」

 

 

キスの合間に重なった唇からくぐもって聞こえてくる、苦しげで切なげな藤丸さんのバリトンボイス。

 

私は藤丸さんの胸を叩くのをやめ、そのキスを受け入れることしか出来ずにいた。