お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
そんな美夏が同じ職場の後輩と先月婚約した。
美夏の左の薬指にある指輪が幸せを象徴している。親友として心から嬉しいと思う反面、どこかで婚約者の彼に、美夏を取られた気がしてるのは私の胸の中だけにしまっている事。
私には、そんな幸せがいつかは訪れるのだろうか。
向かいに座る美夏の指輪をみると、胸の奥にチクリと不安がよぎる。
「と、とにかく。私だって、婚約するまでたくさん悩んだの、琴理だって知っているでしょう?相手を好きになるって、自分でもビックリする位その人のこと考えたり、触れたくなったりするの。琴理は、そんな気持ちを課長さんに持っていなかったってことよね?」
「うん。でも、桐谷課長に名前を褒めてもらった時だけは、すごく嬉しかったから。」
なんだか少し恥ずかしくなって、食後のアイスコーヒーを喉に流し込む。そんな私の様子に美夏はもう一度眉間に皺を寄せる。