お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「昨日のことがあって、嫌われたんじゃないかって。居なくなっちゃったんじゃないかって」
藤丸さんの胸の中で伝えると、藤丸さんは背中に回していた腕の力を緩め、片方の手で私の髪をくしゃっとした。
「どこにも行かないよ。って、僕の家だし。」
そう言って楽しそうに笑っている藤丸さんの胸の中で、このままこうして居たいという感情が沸き起こってくる。
それは桐谷課長の時には沸き起こらなかった感情
――誰かの胸に抱かれていたいという感情ではなく、他の誰かではない藤丸さんの胸でこうして居たいという感情。
でも、恋愛スキルが低すぎる私にはその気持ちをなんと言えばいいのか分からずにいた。