お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~

「さて、じゃあ、私はこれで。おやすみなさい」

 

恥ずかしすぎて、私はそそくさとその場を去ろうと急いでテレビを消す。
すると、同じように藤丸さんも本を閉じて、ソファから立ち上がる。

 

「じゃあ、僕もそろそろ寝ようかな」

 

藤丸さんは私の後をノロノロと歩き、部屋の前まで進む。

 

「おやすみなさい。また明日」

私が少しだけ振り返り藤丸さんに挨拶をする。

「ん、お休み」

小さく呟いた藤丸さんの姿を見ながら小さく会釈し、私が自分の部屋のドアノブに右手を掛けた瞬間、藤丸さんは私の左手を掴んだ。

 

大きく傾きかけた私の身体が転倒を免れたのは、すっぽりと藤丸さんの胸の中に収まってしまったから。

 

本日二回目の、藤丸さんの胸の中。

確かにさっき、藤丸さんの腕の中でこうしていたいと願ったけれど、こんなに短期間で何度もあると頭の中も混乱してしまう。

 

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