お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
私は藤丸さんの動きを目で追いながらも、その場から動くことが出来ないでいる。

ただただ、涙は次から次へと溢れだしてきて、幼い子供みたいに「行かないで」と縋りつきたいのに理性がそれすら邪魔をする。


「琴理ちゃん、まだゲームは終わってないんだから、リタイアなんて言わないで」

リビングを出ていく藤丸さんは私にポツリと、そう言い残して出ていった。




藤丸さんが玄関を出ていく音がすると、急に孤独感が襲ってくる。


私は、近くにあったクッションを抱きしめ、声を押し殺すようにして泣いた。
今夜は涙が止まりそうになかった。


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