お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
寝た振りをしている私の後ろから、藤丸さんがベッドにするりと入ってくると、そっといつものように抱きしめた。
いつもと同じムスクの香りと藤丸さんの体温に包まれると、冴えわたっていた頭がまた夢の世界へと誘われそうになる。
「琴理、早く思いだしてよ。僕のこと」
どこか縋るようにも聞こえる藤丸さんの呟きが耳元で聞こえる。
何の事?
頭の中でぼんやりと思ったのに、いつの間にか聞こえてきた規則正しい藤丸さんの寝息を聞いていたら、私まで夢の世界に誘われていた。