お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「こっちだよ。ことりちゃん」
誰だっけ、この子…。
急に柔らかで暖かい手で私の手を取り、走り出した男の子。
光に輝いてよく顔を分からないけれど、私は彼に手をひかれて輪の中から抜け出して走り出す。
「大丈夫だよ、ことりちゃん。僕が付いているから」
泣きじゃくって言葉にならない私をなぐさめてくれる。
「僕が大きくなったら、ことりちゃんと結婚して、守ってあげる。だって僕のママが言ってたんだ。僕と結婚したらことりちゃんは幸せのことりになるねって。」
小さい頃のほんのりと甘酸っぱい記憶。
だけど、その男の子が誰なのか、思い出せない。