お見合い結婚～イケメン社長と婚前同居、始めます～

「ただいま」

ぼんやりとしていた私は、藤丸さんが帰ってくる声で随分と時間が経っている事に気付く。

「お帰りなさい」

リビングの電気さえつけていなくて、夕食の支度だって出来ていなかったことに少し焦ったけれど、焦り始めるよりも早く藤丸さんはリビングに入ってきて、私よりも一足早くリビングの電気をつける。

「

琴理ちゃん、どうしたの？具合でも悪い？」

藤丸さんは、身体を屈めて私の顔を覗き込むようにして、心配そうに尋ねてくる。
私は小さく首を横に振る。

「でも、少し顔色悪いよ。青白い」

藤丸さんは私のおでこに手をあて、熱がないか確認する。

あまりの至近距離で熱なんてない事くらい分かっているのに一気に体温が上昇してしまう気がする。



「熱はないみたいだね」

そう言って整った綺麗な顔立ちを崩して笑う藤丸さんに、なんだか胸が締め付けられるような感覚を覚える。