お見合い結婚～イケメン社長と婚前同居、始めます～
「どうして、そう思う？」

「女の勘。」

「はぁ？」

小悪魔のような笑みを浮かべた近藤さんに、力が抜けたようなため息を漏らしてしまう。



「なんてね、からかってごめんなさい。藤丸社長、以前、同窓会の時に私にずっと琴理のこと聞いてきたから。」

もう、図星過ぎて返す言葉が見つからなかった。


「これでも私、学生時代に他校の男子学生にもてていたんですよ。私はいつも琴理と一緒に居たんだけど、琴理は自分の名前が恥ずかしいからって、男子に話しかけられても名乗らないんです。」

あぁ、なんだか分かる気がする。


思い浮かべたのは、アイスコーヒーを出してくれたＯＬ姿の赤井さん。

「そのせいで、琴理は高校の頃から「近藤美夏の親友」という呼び方をされていました。少しだけ時間が経つと、そんな琴理の存在すら近づいてきた男子は忘れていました。幼稚舎の頃にあんなに名前のことで意地悪していた子達だってすっかり忘れていました。本人はそれで納得しているようだったけど、正直、私はそんな状況は嫌だったんです。」


綺麗な顔立ちの近藤さんの眉間にはうっすらと皺が寄っている。
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