お見合い結婚～イケメン社長と婚前同居、始めます～

「琴理ちゃんの話してくれた夢、その夢の続きが僕の原点。」

話の途中、何度も驚いた顔をしてみたり、時折瞳を潤ませながら琴理ちゃんは静かに話を聞いてくれた。


全てを話し終えた今、目の前には琴理ちゃんは、ソファの下のフローリングの床にペタリと座り込んで、思いつめた表情をしている。


「琴理ちゃんは覚えていないだろうけどね」

無理やり口角をあげて笑顔を作って見せると、琴理ちゃんも同じように無理やり口角をあげて笑顔を見せた。


その笑顔があまりにも儚げで、抱きしめたい、キスをしたい、この子を守りたい、沸き上がってくる衝動をどうにか理性で抑えつけた。

この生活を始めて、琴理ちゃんに対するこういう類の衝動を理性で抑えつけることは嫌という程ありすぎて、随分慣れてしまった。



時々は押さえつけることを忘れてしまうことだってあったけれど。