お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
藤丸さんは何かを探るように声を掛け、振り向いた私の顔を確かめるとその視線は持っていたスーツケースに移動した。

そして何かを悟ったように、藤丸さんは目を見開いた。



次の瞬間タイミング良く、目の前の信号が青へと変わったことを知らせる音が響き渡る。


急がなきゃ。

そう思った私は逃げるように走り出そうとしたのだけれど、何故だかそれを身体が拒否するように脚が動かない。


そこに急いで近寄ってきた藤丸さんが、私の手首を掴んだ。


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