お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
桐谷課長からリストラを言われた日から、早くも1ヶ月半が過ぎた。
私は結局、桐谷課長に言われたように、依願退職という形をとることになった。
出勤最終日、総務課を代表して花束を渡してくれた桐谷課長は、気まずい様子で私と目を一回も合わすことはなく、隣で大号泣してくれた紗和ちゃんとはあまりに対照的だった。
そういえば、リストラ宣告された日から、二人きりで話すことなんて一度もなかったなぁ。
あの日以来、私は毎日粛々と引き継ぎに勤しんだ。
きっと、あと数ヶ月もすると会社も変わって、この業務の方法だって変わるんだろうな。
時折、そんなことを感じながらも、それでも残りの短い間だけでも紗和ちゃんや他の後輩たちが困らないようにと願いを込めて、仕事に励んだ。
今頃、みんなどうしているんだろう…。
そんなことを思い返すと胸の奥にチクリと痛みを感じるのは、きっと私の再就職が難航しているせいだということにしよう。