お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
門扉を出て数m歩くと、さっきのお母さんの言葉が何となく気になって、私は自分の家を振り返る。
極普通の一軒家が私の視界に入ってきて、なんとなくそこに立って我が家を眺めてみる。
築32年の一軒家。
私が生まれた歳に建てた両親の宝物の1つ。
「小さくたっていいから、大好きな家族が一緒に過ごせるお家があれば、それで幸せ」
小さい頃から、そんなお母さんの口癖を聞いて育った私には、小さいけれど大好きな家族と過ごせるこの家が好きだった。
そんな家に私も32年住んでいるのだから、愛着がある。
だから再就職だって、地元で、実家から通える所でって探しているのに、なかなか決まらないでいる。
神様が、実家も出なさいって思っているってことなのかな…。
ふとした寂しさを感じながら、私は職業安定所へ向かった。