お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
そんなお父さんの手元からリモコンを取って、テレビの電源を入れようとした時―――
「琴理、ちょっと待て」
お父さんの声に、私はビクリと身体に力が入った。
お父さんの声に反応したのは私だけではなかったようで、お母さんは崩していた姿勢を整えて、座り方を正座にしたし、ソファにだらりと座っていた妹の幸芽も背筋をシャンと伸ばして座りなおした。
赤井家には珍しくシンとした無言の時間が流れる。でも3人を眺めてみれば、現在の状況を一番理解できていないのが私だということは否が応でも理解できる。
「何?」
無言の空間を壊したのは、私の声だった。
私の言葉にお父さんは一瞬、視線を彷徨わせたけれど、意を決したかのように真っ直ぐ私の目を見て静かに口を開く。